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雑記

 【2度の負け】    2009.8.1

今年で4回目の開催となる豊橋市長杯 市民ふれあい将棋将棋大会にBクラスで参加をした。そろそろ優勝してAクラスに移行しようと真剣に目論んでいたわけである。4戦全勝すれば優勝だと意義込んでいたのであるが初戦を中盤優勢になりながらも負けてしまった。気を取り直してその後、2連勝。最終局を勝てば3勝1敗でなんとかと思っていたところ、対戦相手がなっなんと小学生とおぼしき女の子ではないか。その女の子も1負け2勝と同じ星、唯の小学生ではないのは分かった。なにせBクラスにエントリーしてくる子供は只者ではないのは知っている、知っているが、可愛らしい女の子が相手である。参ったなと思う気持ち、どのくらい強いんだろう、負けてなるまじといった複雑な気持ちが渦巻く。いやこの時既に自分自身をこの気持ちが支配していたのに気がついていなかった。さて、いよいよ対戦する時間となり、空いている席を物色し廊下側の席とちょっと明るめの窓側の席があり女の子にどちらが良いか聞いてみると窓側が良いとの返事。じゃあここにしましょうということにし、お互い席につく。小学生って聞いてみると、小学3年生ですって答えた。小学3年生の女の子が将棋指すなんて信じられない。しかもこのクラス。あどけなくって切れ長の目できっと美人になるんだろうなあと勝負に余分な感情が渦巻いた。盤上に駒をお互い並べるのだが、並べながら女の子が規則正しく駒を並べているのに気がついた。大橋流の並べ方で、それって大橋流って聞くとこくりと頷く。只者ではない。次に先手後手を決める振り駒をするのだが、年長者が5枚の歩を手に取ってじゃらっと盤に落とし、表の数が多ければ振った人が先手、裏の数が多ければ相手が先手となる仕組み。当然年長者の私が5枚の歩を取って振ろうとした時、女の子があの1枚多いんですけどと待ったをかけた。よく見るとあろうことか6枚の歩を持っている。いや失礼、1枚多かったねということでやり直した。女の子の先手と決まり、1手目の歩をぴしりと盤に打ち付けた。その手つきを見て、プロ棋士と変わらない手つきじゃあないかと見とれた。と同時に絶対負けんでと意義込む。戦いは、女の子は金矢倉、こちらは矢倉模様の急戦調、女の子は果敢に棒銀でこちらを攻め、受けきってしまえば後は、じっくりと思っていたところが、女の子の読みが勝っていた。じりじりと押してくる。時折ちらっと上目使いでこちらの顔色を伺うのと時計を気にする。まさに勝負師。こちらも強めに駒を盤に打ちつけ気合を注入するが、一向に動じない。終盤になりギャラリーが数人、盤面を覗き込む。2、3分して散らばる。既に勝負ついていると見切っているのだ。そんなこと分かってらいと思いつつ、自分の顔が上気しているの感じ、ちょっぴり恥ずかしい。最後に形作りに攻めさせてもらい、しっかりと詰まされてしまった。まさか負けるとは、決して油断したわけではないのに。不覚である。強いね、駒を片付けますかと言って、数枚の駒を取って駒箱に入れていたら、女の子が将棋駒が乗ったビニールシートの盤を両手で持って、中央をたわませ、駒箱に一挙に駒を流し込んだ。その所作を見て、再度無言で負けましたと言わされてしまった。

手袋じいさん】    2006.7.25
地元の将棋大会に参加すると色々な方々と対戦するわけだが、こんな場にやって来るおじいさん達は兎に角も気合十分である。私が対戦したこのおじいさんも強敵の1人で、過去2回対戦している。初回の対戦では、おじいさんは四間飛車、こちらは居飛車急戦で対抗。年季の入った感じで非常に指しなれており、すいすいと指し手を進めて行く。が完全に美濃囲いをせず守りの金銀が左辺寄りといった変則四間飛車であった。勝負も中盤になり、勝負どころとみるやおじいさんは丸い顔を真っ赤にし、大きく息を吸いふーと息を吐き出すこと数度、気合十分である。不覚にも思わず見とれてしまう。さらに相手の駒を盤上から取る際、左手で駒をひょいと摘み上げ、ぽいっと托鉢をしているお坊さんの手の形をした右手に放り込む姿がまた妙な感じである。しかもその右手には指先が剥き出しになっている黒い手袋をしているのだ。手袋は片手だけ、なんでなんだろう手でも怪我しているのかな。などど考えたり、気合に恐れ入っているうちにあえなく敗退。左利き、強い。
2度目の対戦は、それから数ヶ月目の将棋大会。手袋じいさんの姿もあり、なにやら飲み物を手にしている。見ると500mLのビール缶ではないか。試合開始前ではあったが将棋を指す前にお酒とは、読みが鈍るんじゃないのと思ったりもしたが、今日は手袋してないじゃん。さて、いよいよ大会の始まる時間となった頃、おじいさんはなにやらごそごそとし出したなあと見るや、例の黒手袋を右手に装着しているではないか。やはり勝負手袋だったんだな。と認識。さてまたもや対戦することになり、おじいさんは四間飛車、こちらは居飛車急戦で対抗。年季の入った感じで非常に指しなれており、すいすいと指し手を進めて行く。が完全に美濃囲いをせず守りの金銀が左辺寄りといった変則四間飛車であった。勝負も中盤になり、勝負どころとみるやおじいさんは丸い顔を真っ赤にし・・・。うむ、こりゃ全く同じ戦法を採用しているじゃん。同じ状況だ。どうやらおじいさん達は、年季の入った得意戦法一本で勝負を挑むらしい。負けるものかとこちらも闘志が湧いてくる。今回は手袋じいさんに勝負どころでの息を吐き出させることなく押し切って勝ち。しかし、これはお酒が味方したものかも。油断大敵である。
 
【ごきぶりの優雅な寝床】   2006.1.3
いったい何処からやって来るのか、大体は察しがついているのだが、ちょくちょく部屋の中でみかける忌々しいごきぶりの姿。
長いこと住んでいるアパートの流し台の下のホースの隙間から彼らはやってくる様である。そこでその進入経路である隙間を金属テープでしっかりと塞ぐとともに、流し台そのものと壁との隙間も完全密封した結果、大型のごきぶりの発生は皆無となった。が、未だ、生まれて数ヶ月であろう2cmくらいまでの小さいものは、たまにうろついている姿をみかける。
実にしぶといやつらめと思っていた。季節も秋となるとそんな姿もとんと見かけなくなるので、夏の激闘も忘れてしまう。
そんなある年の瀬のことであったが、煩雑となった私の机の上に立掛けてあった1冊の大判写真集「写真でつづる将棋昭和史」を久しぶりに手に取り、箱から中身の本を取り出そうと引き抜いてみると、なんと小型のごきぶりが、本の小口に寝そべっているではないか。
外箱を家とし、本の紙を寝床に、優雅な暮らしをしていたとは、なんと大胆不敵。
しかもその側では、日々、パソコンをし、読書していた人間様がいたというのに。
そうそう追い出したのであるが、ごきぶりが寝ていた箇所は、うっすらと光っている。
身体の粘液であろうか。実に苦々しい。
ごきぶりの寝床といえば、これまた苦々しい話がある。
会社の給湯器で、お茶を飲もうとしていた時のことである。
横から、「俺はそれ飲まないよ」という同僚の声。
彼曰く、給湯器の扉を開けて、お茶っぱを入れ替えるボタンを押そうとしたら、なんとごきぶりがお茶っぱの上に寝そべっていたそうな。
なるほど、夜ともなれば、人もいなくなり、生暖かくこんもりしたお茶っぱの上は、なんともすばらしい寝床ではないか。しかも香りも良いときている。
こちらも前者と劣らず優雅な寝床である。
日頃、その給湯器にはお世話になっていたのだが、それ以来、飲まないようにしている。
そう言えば、お茶っぱの上は光っていたのであろうか。


【と金じいさん】   2006.1.5
新聞で紹介されていたとある将棋連盟支部主催の将棋大会の記事をみて、なんとなく朝から
の将棋大会に参加しようという気力もなかったのであるが、夕方近くになってやはり顔だけ出して大会の様子だけでも見学させてもらおうという気になった。
新聞には指導将棋とあったので、ひょっとしてプロ棋士が来られているのではとこれまた気になっていたのである。将棋大会はとある寿司屋の二階の座敷で行われており、何十畳とある畳敷きの部屋は、対局場に申し分の無い環境であった。
対局場には、母親同伴の数名の子供達、50歳前後の大会参加者が30名程で盛況であったが、夕方でもあり、既に勝敗は決していたようである。踊り場には、杉本六段が指導将棋をされており、熱心なファンが成り行きを観戦している中、見慣れない人がいるなあと世話役の方に声を掛けられた訳である。簡単に自己紹介をし、ちょっと様子を見に来ただけですと断ったのだが、折角なのだからと、1局指していったらということになった。世話役の人が、踊り場で観戦していたとあるおじいさんに声を掛け、こちらの方と1局やってもらえないかと言うと、二つ返事でやりましょうということになった。このような場では、まずは1局ということになる程、将棋好きな方ばかりであるのだが、このおじいさんは、その上を間違いなくいっている雰囲気が漂ってた。着古したねずみ色の背広に、ベレー帽、片手に扇子、そして背広の襟にはと金バッチが燦然と輝いていたのである。そうそう手合わせとなり、と金じいさんは、力戦中飛車を繰り出し、こちらは防戦一方であったのだが、途中より、飛車交換を強要されながらも、6筋の歩をと金に成り込むことに成功した。この頃から、と金じいさんより、「おっ若いの、なかなかやるな」と持ち上げられたかと思うと、敵陣にて、金銀交換を数回繰り返した際、「ご苦労さん」と言われ、これは、形勢は変わらないよご苦労さんという意味であるが、そんなかんなで、徐々に形勢を有利にすることが出来た。こちらの陣を攻める龍に対し、気合の攻防の角打ちをしたところ、と金じいさんをついに、「なに!」と唸らせたのである。そしてついに1手勝ちとなった。と金じいさんは、「負けた。」と言って席を立ち、戻っては来なかった。指導将棋を観戦し、そろそろ帰ろうかと廊下にでたところ、ベンチに座っていたと金じいさんと会うことが出来たので、挨拶をして帰ろうとしたところ、「また教えてください。」と声を掛けられてしまった。実に恐れ多いことである